「せっかくLPに動画を入れたのに、誰も見てくれない…」 そんな経験、ありませんか?
どれだけ魅力的なサービスでも、動画を見てもらえなければ意味がない。実は、その“見られない理由”の多くが「表示速度」にあります。
そして今、その問題を解決するヒントとして注目されているのが、UX理論のひとつ「ドハティの閾値(0.4秒)」です。
この記事では、動画をLPに載せるなら知っておきたい「0.4秒の壁」について、実例を交えてわかりやすく解説します。
ユーザーは“そんなに待ってくれない”
Webの世界では「表示が1秒遅れると、コンバージョンが7%下がる」と言われています。特にモバイルユーザーはせっかちで、動画が読み込まれる前にスクロールして離脱してしまうケースも少なくありません。
これは体感の問題ではなく、心理学的にも裏付けがあります。
ドハティの閾値(Doherty Threshold)とは?
1980年代、IBMの研究者が提唱したUX理論で、「0.4秒以内に反応があると、ユーザーは待っていると感じない」というものです。
つまり、ページを開いたとき、0.4秒以内に動画が表示・再生されるかどうかが、
- 最初の印象(印象形成)
- 続きを見るか(エンゲージメント)
- アクションを起こすか(コンバージョン)
このすべてに影響するということになります。
【実例】“遅い動画”が与えるネガティブ印象
たとえば、以下のような動画付きLPを考えてみてください。
パターンA:読み込み3秒
- ページが開く → 動画部分が空白 → ローディングが始まる → やっと再生
- ユーザーは「なんか重いな…」と感じてスクロールして離脱
パターンB:0.3秒で表示
- ページが開く → 動画の冒頭フレームが即座に見える → 自然に再生開始
- ユーザーは「おっ、動いてる」と関心を持ち、再生継続
このように、「0.4秒以内に何が起きるか」が大きな分かれ道になります。
なぜ動画は遅くなるのか?
では、なぜ動画は遅れて表示されてしまうのでしょうか? 主な原因は以下のとおりです:
- ファイルサイズが重い(フルHDや4K動画)
- ストリーミングで読込が遅い
- モバイル回線で遅延が発生
- autoplayがブラウザ制限されている
しかし、これらは対策可能です。
表示速度改善のテクニックまとめ
以下のような方法を用いれば、動画の表示速度は劇的に改善できます。
改善策 | 内容 |
---|---|
WebM形式に変換 | MP4より軽量で再生も速い |
autoplay+muted | ブラウザで自動再生が有効になる |
先読み設定(preload) | 動画の冒頭だけでも先に読み込ませる |
LottieやGIFで代用 | 実動画の代わりに軽量アニメで動きを出す |
モバイル向け別表示 | スマホでは静止画+ボタンで切り替え式に |
また、これらの施策は単体でも効果がありますが、組み合わせることで相乗効果が得られます。
LPで成果を出す人は「0.4秒」を意識している
ある制作現場では、以下のような改善が行われました:
- 改善前:動画表示まで約2.8秒 → CV率:1.3%
- 改善後:冒頭フレームを即表示、再生まで0.35秒 → CV率:1.9%
数字だけでなく、問い合わせフォーム到達率も上昇しています。
動画の“中身”を変えたわけではありません。表示速度を変えただけです。
したがって、UX設計においては速度の見直しこそが優先度の高い施策といえるでしょう。
“動かす”より“即、動いて見える”が正解
最近では、「全部再生しなくていい」「ループでもいい」と割り切るケースも増えています。
LPに求められているのは、“雰囲気を伝える”ことです。
それならば、以下のような工夫が有効です:
- 冒頭数秒で世界観を伝える
- 無音で流れても意味が通じる構成にする
- ボタンやCTAと組み合わせて誘導する
このように、ユーザーが「わかりやすい」「気持ちいい」と感じるような設計を意識することが重要です。
まとめ:動画は武器になる。でも“速さ”がなければ足を引っ張る
良い動画を作っても、表示が遅いとすべてが台無しです。
- 動画は最初の0.4秒で「見る/見ない」が決まる
- UX設計として動画表示を軽視してはいけない
- ドハティの閾値を意識するだけで、CVが変わる
そのため、表示速度の最適化は“デザイン”の範囲ではなく、コンバージョン戦略そのものと捉えるべきです。
動画は“見せ方”より“見せるスピード”が問われる時代です。
あなたのLP、動画はサクッと表示されていますか?
もしそうでないなら、まずは「たった0.4秒」の差を見直してみてください。
この小さな壁を越えることが、大きな成果への第一歩になるはずです。
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